先週の現場
先月、そして先週と松江市内の9号線で夜間工事のため片側交互通行の規制をおこなっておりました。近隣の皆様、ご通行された皆様にはご理解、ご協力いただきありがとうございました。
さて、どんな作業をしていたかといいますと、「電柱の撤去」です。普段生活をしている中で電柱、電線というのは当たり前の風景として認識されているものだと思います。ですが、近年では電柱を撤去して地下に電線を埋めていく工事が各地で行われています。
では、電線の地中化はどんな意味があるのでしょうか。
電柱地中化の意味
1、景観の向上
→特に観光地では大きなメリットとなるものです。せっかくのきれいな街並みでも上を見ると無数の電線が縦横無尽に伸びているのを目にすると現実に引き戻されますよね。また、電柱があるがゆえにベビーカーや車いすなどで歩道を歩く際に一部分だけ狭くなってしまい通り難くなっている場合もあると思います。これらを解消できます。
2、災害に強い
→日本は台風、地震、津波など多くの天災が起きる国です。記憶に新しいと思いますが千葉の台風被害によってゴルフ練習場の鉄柱が倒れてしまう事故がありました。電柱も立っている限り倒れる危険性があります。あの高さのものが道路に、、、家に倒れてきてしまった場合を考えると恐怖を感じます。その点、地中にあれば倒れる心配もありません。さらに地盤沈下によって地盤が断裂でもしないかぎり電線が風で切れるということも心配なくなります。
このように多くのメリットがあります。しかしながら日本は先進国の中でも地中化が遅れています。
国土交通省のHPに各国のデータが出してあります。
https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/chicyuka/chi_13_01.html
これによると2017年現在で首都である東京ですら8%にとどまっています。
日本のインフラ整備における遅れは水道の老朽化だけでなく、電柱の整備に関してもいえるのではないでしょうか。
また、インフラ工事にかかわる人員の減少も大きな問題になってきており、新たな担い手の確保も大きな課題です。
文化、認識の違いによる電線地中化
お隣の韓国のソウルでは地中化が約半分も完了しています。また、今後の目標として4車線以上の道路の地中化を94%にまでするとしています。もちろん景観整備や歩行者の安全の確保というものがこの計画を大前提となっています。
しかし、私自身が10年ほど前に修学旅行で韓国を訪れた際にガイドの方から興味深い話を聞きました。
「韓国では大きな通りに電柱、中央花壇など設置せず、道を広く使えるように整備しています。」
と言われました。景観のためだけであれば中央分離帯に花壇や樹木を植えても損なわないように感じます。そのあと、理由を聞いて納得しました。
「韓国はまだ戦争をしている国です。現在は休戦しているだけ。そのため、市内であっても戦闘機などの滑走路としても使用することを考えた道路整備をしている」
と説明を受けました。戦時下になった場合を考えての地中化の推進だったのです。こんなことは日本ではまず考えられないですよね。わざわざ、地対空ミサイルを設置、移動させることを念頭においた町つくりはしてないですよね。
とはいえ、これは10年前の話ですので、現在は景観や歩行者保護を目的としての地中化を進めているというのも本当でしょう。ただ、そういう歴史的背景も電柱一つにもあると思うと興味深いですよね。
今後も
これから先も多くのインフラ関係工事は続いていきます。コロナ禍にあってもその工事量は減ることがありません。皆様には交通規制、騒音等でご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご理解、ご協力をお願いいたします。
最後に松江市内国道9号線の津田あたりを走行することがありましたら、電柱のなくなっている様子を見てみてください。